【インターン日記】大学生が“アートで面白さをつくる会社”の話を聞いて「アートの楽しみ方」を考える②~リサーチ編~

本記事は、インターンの大学生・藤元が、インターン中で関わったアートを軸に事業を展開する「株式会社すみなす」のプロジェクトについてご紹介するブログ記事の第二回(リサーチ編)です。

今回は、株式会社すみなすが展開している事業と関わりが深い「アート×○○」をテーマに、世の中にはアートにまつわるどのような事業があるのか、リサーチしてみました!

結論からお話しすると、私が考えている以上に、社会にはたくさんのアートにまつわる事業が存在していると知ることができました。今回のリサーチを通して、私が知り得た事業の中でも特に印象深かったものをご紹介します。

①アートと「サブスクサービス」

動画や音楽、車やブランド品など、近年私たちの生活になくてはならない存在となった「サブスクリプションサービス」(通称「サブスク」)。月額課金や定額制で契約するさまざまなサービスのことを指します。 実は、アートの世界でもサブスク制度を導入し、現代アートやモダンアート作品をレンタル提供しているサービスがあるんです。

サブスクサービスの中には月額5,830円から利用できるものもあり、ホテルやモデルルーム、オフィスなどを彩るアートを、まずレンタルから気軽に導入できます(のちに購入も可能)。もちろん自宅にもレンタル可能で、高価なイメージがあるアートを身近なものにできる画期的なサービスだと感じました。

②アートと「ホテル」

アート作品がいたるところに展示され、まるで美術館に宿泊しているような感覚になるホテルが、全国的に増加中です。

名古屋の都心部にそびえる旧名古屋テレビ塔

特に印象に残った、名古屋にある「THE TOWER HOTEL NAGOYA」は、1954年に戦後復興のシンボルとして設立された国登録有形文化財の旧名古屋テレビ塔を、世界初の免震工事によりリノベーションしたホテルだそう。モルタルやレンガ、そして構造材である鉄骨など、国登録有形文化財の古き良き趣と現代アートが融合したホテルの内観は、まさに「アートの有効活用」を感じさせる唯一無二の空間になっています。

THE TOWER HOTEL NAGOYA」以外にも、アートを主軸にしたホテルはあります。作品を展示するだけでなく、空間そのものを一からアーティストと制作するコンセプトのホテル「BnA_WALL」(東京・日本橋)は、宿泊費の一部が部屋を制作したアーティストに還元される「パトロンシステム」を採用していて、マネジメント事業のような役割も担っています。このように、新たなミュージアムのかたちとして「ホテル」が注目されつつあります。どのホテルも、おしゃれで凝った作りの、眺めているだけで楽しいwebサイトが印象的です。

③アートと「マッチングサービス」

「マッチング」と聞くと、今や市場規模が700億円を超えるとも言われる恋活・婚活マッチングサービスを思い浮かべますが、アートの世界にもマッチングサービスがあるんです。

せっかくアート作品ができても、販売する手立てがないとアーティストは製作費はおろか、生活費にすら困窮してしまいます。この問題を解決するため、アーティストと展示場とアートファンを繋ぐマッチングサービスや、わずか100円からアート作品の共同オーナー権を売買できるマッチングサービスが存在します。これらのサービスの最大の特徴は、やはり「利便性」につきます。

一昔前までは、アーティストが個人で作品を販売するためには、貸しギャラリーを使わざるを得ない状況がありました。しかし、わざわざ貸しギャラリーを借りて作品を展示しても、スカウトしてくれるギャラリストやコレクターが来ないことには、新規顧客は得られません。それに、貸しギャラリーの値段も高額な場合が多く、都内だと1週間で15万円以上のコストがかかる場合も……。場所代をペイするためにはかなりの作品点数を売らないといけないのに、顧客が獲得できず出費のみがかさむ、アーティストにとって厳しすぎる状態が長らく続いていたそうです。

そこで、利用料金が安価、もしくは無料のマッチングサービスを利用すれば、アーティストが負担する経費は今までとは比べ物にならないぐらい安価で済み、さらにはネットを介して、新規顧客の間口も広げやすくなります。活動を初めて間もなく、知名度がないアーティストでも、金銭的な理由で筆を折らざるをえない状況から脱却できる仕組みは、すごく画期的だと感じました。

上記した3つ以外にも、アートにまつわる事業はたくさん存在します。

アート×ワークショップ

人にアートに触れてもらうワークショップの開催。飲食店でお酒を飲みながら絵を描くイベントや、大手の古着屋が協賛しているものなど、種類は多岐にわたる。

アート×風呂(サウナ)

サウナや銭湯が展示場になり、アートを観覧できるイベント。リラックスした状態でアートを楽しめるのが特徴。チームラボとTikTokがコラボしたイベントや、ーティストが内観づくりを手がけた銭湯などが存在する。

聞きなじみのあるようなイベントもあれば「そんなことやってる人たちがいるんだ!」といった新しい発見が多く、リサーチしていてとてもワクワクしました。

そして、これらの事例はいずれも以下の3つのカテゴリーに分類できることがわかりました。

カテゴリー 事業概要 事業例
①マネジメント アーティストが、アートで生計を立てられるように、マネジメントを行う事業。

・マッチングサービス



②商品開発

アートを「商品」として、世の中に売り出すための事業。

・サブスクサービス

・アート×ホテル

③エージェント アーティストの作品を、生活者のもとへ届けるための事業。

・アート×ホテル

・アート×風呂(サウナ)

アーティストやアートにとって必要なフェーズはさまざまですが、アートにまつわる事業は今回ご紹介したもの以外にも、まだまだたくさんあります。

先述したように「作品を売るためには高額の料金を支払い、個展を開く必要がある」「金銭面で困窮し、作品づくりを諦めてしまう」といったアーティストにとって厳しい環境は、もう過去の話なのだと勉強になりました。

今回の調査をもとに、次回のブログでは「私たちがアートと共に生活を送る方法」を模索していきたいと思います。

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