企業の関係性を動かす媒体を生みだす「コミュニケーションプラットフォーム事業部」

2025年1月より、枠の事業部構成が変わります。

株式会社枠ではこれまでの社内体制を一新し、2025年1月より新たに「ワークショップ事業部(以下、WS事業部)」「コミュニケーションプラットフォーム事業部(以下、CP事業部)」「PR事業部」の3つの事業部運営を行います。

株式会社枠は企業の気持ちいいコミュニケーションを生み出し、文化醸成のお手伝いをしているPR/デザインの会社です。

1.コミュニケーションのあるべき姿を考えるきっかけとしてのワークショップを提供する「WS事業部」
2.多くの人が行き交いコミュニケーションしていくための媒体を創出する「CP事業部」
3.発信方法や広報部の立ち上げをサポートする「PR事業部」

という3つの事業部で今後は企業が能動的かつ自主的に発信できるようになるためのお手伝いをしていきます。

今回は、コミュニケーションプラットフォーム事業部の部長・白井さんへのインタビューを通して、「コミュニケーションプラットフォーム」とは一体どういったものなのかをご説明いたします。

コミュニケーションプラットフォームって何?<枠代表・白井 康太インタビュー>

ーーまずはじめに「コミュニケーションプラットフォーム」とはなにかを教えていただけますか?

白井:株式会社枠は「その関係は気持ちいいか」という経営理念を掲げています。関係性を大切にしている会社だからこそ、枠がクリエイティブを行う際は「制作物がコミュニケーションのプラットホームになって、新たな関係性を生み出せるか」という判断軸をつねに持っています。

この「クリエイティブ」はWebサイトだったり、オフィスの内装だったり……。枠の社内でいうと、前回のブログで紹介した「ポイポス」(社内ポスト)本棚など、かたちが様々で「こうでないといけない」という決まりは一切ありません。どんなものでも「誰かと誰かの対話のきっかけになる媒体」のことを、枠では「コミュニケーションプラットフォーム」と呼んでいます。

ーーコミュニケーションプラットフォームはどういうふうに制作されているんですか?

白井:まず「みんなを当事者にする」ということを大切にしています。たとえば、クライアントさんに「周囲の目を引く、カッコいいデザインの自社サイトをつくってほしい」とお願いされて、要望通りに凝ったデザインのサイトを作ったとします。それだと、どれだけいいものができても、たぶん従業員の方はだれもサイトにアクセスしないと思うんです。担当者の独りよがりなクリエイティブなら、その成果物は「コミュニケーションプラットフォーム」とは言えません。

プラットフォームにするためには、制作の過程で全員参加であることが重要です。今のサイトを見ながら、社員全員で「このページ、全然更新されてないな」とか「ここに書いてある言葉、なんか古くない?」とか対話しながら作ることで、Webサイトの完成を楽しみにしている人を増やすことができるんです。

3つの事業部について

ーーありがとうございます。続いて、3つの事業部を立ち上げた経緯について教えていただけますか?

白井:上記のとおり、枠では「制作の過程で関わる人みんなを当事者にする」という目標があるため、創業当時から企業向けのワークショップを展開しています。ワークショップを通してクライアント企業の社員さんたちに、自分たちの課題や価値を自分たちで考えていただき、その後は「どうしたらその課題を解決できるか」、「どうすれば価値を発信できるか」を一緒に考えてきました。

今回、新たに3つの事業部を設けることにより「ワークショップ開催・コミュニケーションプラットフォーム制作・PR(コミュニケーション)」という企業が能動的にコミュニケーションしていくまでの流れが、きれいなグラデーションになると考えています。

各事業部のメンバー

ーー3つの事業部を設けたことで、どのような利点があるのでしょうか?

白井:ワークショップやコミュニケーションプラットフォームの制作を通じて、クライアント企業が伝えたいことを、外に伝えられる状態を作るのが、3つの事業部を立ち上げた一番の目的です。

最終的な目標はPR(※企業が戦略的に利害関係者とコミュニケーションを取れるようになること)なので、最初はPRプランナーたちが発信をお手伝いしますが、基本的には自分たちでコミュニケーションを楽しめるように、社員のみなさんの能動性を高めたいと考えています。僕たちが代わりに行うよりも、自分たちで自由に発信を行ったり、第三者と対話する方が、クライアント企業の皆さんも楽しいですよね。

ワークショップやPRは枠の創業時から絶えず行ってきたことで、今回これまで作ってきたクリエイティブを「コミュニケーションプラットフォーム」と再定義しなおすことでさらに企業の発信に能動性を与えられたらと思います。

コミュニケーションプラットフォーム発足のきっかけと活用事例

ーーコミュニケーションプラットフォームを用いることで、いろんな可能性が広がるんですね。「コミュニケーションプラットフォーム」が生まれたきっかけはなんだったんですか?

白井:僕の実家の話なんですが、地元でハンコ屋を営んでいて。ハンコって「結婚して苗字が変わった」とか「出世して新しい役職に就いた」とか、人生の節目節目で新調することが多いんです。だから、実家に帰るたびに母が地元の人たちの最新情報を教えてくれるんですよ。前に帰省したときは、ハンコを作りにきてくれた中学時代の担任の先生が「白井くんは元気にしてますか?」なんて気にかけてくれて、そこから話が広がって、地元で同窓会を開催しました(笑)

ーーSNSやインターネットを全く介さない同窓会が実現したんですね。お店で新たな関係性が生まれている……。

白井:うちの母親がなにか働きかけたわけじゃなくて、お店が自然と「媒体」として機能しているんです。お店以外でも、たとえばご家庭にあるホワイトボードなんかも、立派な対話ですよね。お母さんが「冷蔵庫に作り置きがあるから、レンジ600Wで3分温めて食べて」と書き込んだら、お父さんや子供たちはそのメッセージを受け取って食事を摂る。「コミュニケーションプラットフォーム」というと難しげだけど、僕が考える「理想のコミュニケーションプラットフォーム」は、地元のお店やご家庭のホワイトボードみたいに、シンプルな構造のものです。

枠が毎年開催している「文化祭」もコミュニケーションプラットフォームの原点です。文化祭の日は「株式会社枠」が企業ではなく、人と人とが交流する媒体に変化します。ふだん仕事上では関わりのない人たちの新たな関係性が生まれる媒体として枠が機能している感覚から、コミュニケーションプラットフォームという発想が生まれました。

完成したキッチンでイベントを開催している様子

ーー今後、どんなコミュニケーションプラットフォームを作っていきたいと考えていますか?

白井:以前、神奈川県にある小田原鉱石株式会社の社内に「コミュニケーションキッチン」というキッチンを作ったことがあって。はじめは代表から「会議室を作りたい」と相談されていたんですが、「会議」しか使い道のない空間をつくるより、もっと社員みんなが活用したくなる空間を設けたほうがいいと思い、「ワークショップを通じて本当に会社に必要なものはなにか」を社員みんなで考えました。その結果、社員全員が「料理好き」という共通点を持っていたので、社内の使ってなかった一室を大改造してキッチンをつくりました。

ーー当初は会議室をつくる計画だったのに、最終的にキッチンができあがったんですか!?

白井:毎日のように社員みんなで集まって料理を楽しむどころか、今では料理以外にも終業後にヨガ教室などで活用されているそうです(笑)。料理もヨガも、仕事とはまったく関係のない事象だからこそ、仕事中には発生しないようなコミュニケーションがだれからともなく生まれて、社員間の結びつきがより強くなる。

ーーコミュニケーションプラットフォームって、かなり自由度の高いものなんですね。

白井:Web サイトでも、広報誌でもイベントでもキッチンでも、いろんなものがコミュニケーションプラットフォームに成り得ます。枠は文化をつくる会社なので、小田原鉱石さんのキッチンのように、新たな文化が生まれる媒体を今後も作っていきたいです。

ーー最後に、白井さんが考える最良のコミュニケーションについて教えてください。

白井:祭りのような地域の人たちが集まる場所でも、ポイポスのように特定の人がひっそりコメントするようなものでも「存在しているだけでいい」という、すごくシンプルな価値が重要なんです。「存在するだけ」というのは「放置されている」という意味ではなくて、誰かの日常に当たり前のように存在していることで、誰かと対話したくなる、対話が楽しくなるものが理想の媒体です。地味で目立たないけど「自分も関わりたい」といろんな人に感じてもらえるような存在が、最良のコミュニケーションプラットフォームだと考えています。

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